僕がしおにできること。

僕がしおにできること。


クロ(Youtube)
「ペットを飼う時には、先に死んでしまうのをちゃんと理解して、心構えをしておくべき。」こんなフレーズを聞いた事のある方もいらっしゃると思います。
僕の場合、「溺愛している」ので、しおがいなくなったら大変なことになっちゃうんじゃないの?と周りに言われることがしばしばです‥。
ペットをなくす時の心構えってなんだろう、と考えてみましたが、そんな心構えはきっと僕にはできないと思います。
過去に「ムク」という名づけた犬を飼ったことがあります。とても頭のよい穏やかな雑種でした。僕が8歳の時に気に入ってもらってきて、24歳になるまでの間生き続けました。そんな経験があるので、ペットが先に死んで行くというのは理解しているつもりです。だけれども、今でもペットの死に対して心構えをするというのは僕にはできません。
たとえばしおがいなくなった時に、落ち込まないように、ペットロスにならないように、今から感情を抑えることでしょうか。それとも、しおがいなくなる日を常に想像して、その感情に慣れることでしょうか。それとも、感情がこみ上げないように無関心になることでしょうか。
どれも僕には無理です。
そして僕にとって、どれも意味のないことに思えます。なぜならそれは飼い主としての自分を感情を守ることで、しおを守ることではないからです。したがって、仮に「死んじゃったらかわいそう」と思うならば、それはペットではなくて「飼い主の自分がかわいそう」ということに他なりません。
僕は、しおがいなくなったら当然ペットロスになると思います。だけれども、そうなってしまう自分を今から心配することは僕にとっては全く重要ではありません。誤解のないように付け足しておくと、僕はしおの死を考えないようにしているということではありません。むしろ必ずやって来る死を意識するからこそ、その日の自分を心配するのではなくて、今現在のしおの一瞬を大切にしてあげることの方が重要だと思うのです。
どうすればしおの短い一生で、しおがこの世を去る時に「しあわせだった‥おきゃん」と思えるように大切にしてあげられるのでしょう。僕は家族や友人、仕事や趣味など、自分の人生を取り巻くものがたくさんあり、自分で幸せを追い求められます。でも、しおには選択肢がありません。しおには僕だけしかいません。その一生は僕がすべて、という、野生からはかけ離れたとても特殊な環境にいます。だから僕がしおを幸せにしてやる以外にありません。
今も僕の膝の上でスヤスヤと眠っています。
その呼吸も、鼓動も、僕よりずっと速い。
こうして一人と一匹で共有する時間は、
しおの中で僕よりもずっと早く流れています。
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